ふしぎのしゃがのお姫様

f:id:suzunagon:20210415185357j:plain

「シャガ」という花をご存じでしょうか?

日陰などにひっそりと咲いている、あやめの仲間です。

今、見頃のようで、街中よりもすこし木が生い茂ったようなところに行くと、この花に出会えます。鎌倉の鶴岡八幡宮の平家池の周りにもたくさん咲いていますよ。

 

白地にうすむらさきと橙色の模様の可憐な花で、蝶々のようで可愛らしいのです、が……

なにぶん、日陰の花ですので、ジブリ千と千尋の神隠し的な雰囲気で出会うことがしばしばあり、すこし影があって不思議で怖いイメージもあるのです……。

 

先日、犬の散歩をしていて、普段よりもすこし足を伸ばして小さな森に入ったのですが、そこはヒノキの木が何本も天高く生茂る、うすぐらいところ。

朽ちた祠のみが残る神社の跡地に、苔むした狛犬一匹。

そしてその周りに、このシャガの花がびっしりと生えていたのです。

シャガの花は繁殖力が強いらしく、よく山や森の斜面に群生しているのを見かけます。

綺麗だけれど、どこか、この世のものではない雰囲気……。

その神秘的な雰囲気が以前から気にはかかっていましたが、役者を活かしきるこの上ない自然の演出によって、シャガの「本領発揮」を見た気がしました。

 

そもそも、「シャガ」っていう名前もなんだか不思議でちょっと怖い響きですよね。

「射干」あるいは「著莪」。漢字で書いても怖い。

花言葉「反抗」。強い。

どうも、昔は同じアヤメ科の別の植物、「ヒオウギ」のことを「シャガ」と呼んでいたそうですが、時代を経るとともにいつのまにやら「シャガ」は「シャガ」になっていたようです。

 

じゃあ本当はシャガじゃないの?

あなたは誰……?

でもなんだか、本当の名前がわからないことさえ、「らしい」ような気がしてしまいます。

ひとけのない寂しい森の日陰に、だれに知られるともなくひっそり咲いている、名前もわからないうすむらさきの花。

出会った時は、ジブリっぽい雰囲気に浸って、不思議な世界に迷い込んだごっこをするとシャガの花も喜ぶかもしれません。